皆様お元気ですか。最近は目を覆いたくなるほど、さまざまな問題や事件が多く、中でも人のいのちが軽く扱われる風潮は、子どもの将来が案じられてなりません。

私たちは『くらしのこころ学』を推進していきながら、自分の家庭や近隣の方たちと手を取り合って、幸せな家庭を築いていくための智恵を、みんなで交換し合っています。

それには『無意識な自分を意識してみよう』ということがとても大事なことだと思うのです。

17年前、私が学級を始めるとき、子育てに人との関わりに、いろいろ問題が起きて悩む時、『わたしってどんな人だろう』と自分を考えるようになっていました。それが「無意識を意識する」ことだったのです。  

あなたにとって、「無意識な自分を意識する」とはどういうことでしょうか。何故、「無意識な自分を意識する」ことが必要なのでしょうか。無意識な自分を意識すると、どうなるのでしょうか。

このコーナーでは、これから何回かにわたって、私が関わった方のお話、また私自身の体験も交えて話をしていきたいと思います。ご自分のことに置き換えて考えていただければと思います。

私の仲間に、とっても素敵な方がいらっしゃるんですが、その方がこんな話をし下さいました。「私には2人の子どもがいますが、お兄ちゃんはバナナが大好きな子なんです。でも下の子はバナナが嫌いで小さい頃から食べさせるともどしたりしてたんてです。ですから、もう何年も食べさせてなかったのですが、ある時、八百屋の前を通ったら、バナナが山積みになって安く売ってたから、何年かぶりで買って帰り、食べさせました。そしたら、小学校2年生のお兄ちゃんが『おかあさん、おいしいねぇ』って涙を浮かべて食べているんです。それを見た時、私は『あー、私は子育てを下の子に合わせてしてきたんだ』って、気がついたんです。そして、お兄ちゃんに『ごめんなさーい』って謝ったんです」

そんな話を、涙をポロポロこぼしなから話すのですよ。とっても素敵なお母さんでした。私はこの方のお話を聞いて「この人賢いなぁ」って思いました。自分に気づくと優しくなれるのですね。相手を受け止められるのです。

平成9年7月(第1号)